更新情報14:『中原中也詩集』[その他]
【紹介者:まろん様】
詩というものは、人それぞれ、その時々の心の内によってどんな受け取り方もできるものだと思います。
もちろん、作者の伝えたかったものや考え、ちゃんとした解釈が存在するものではあるけれど、それを超えて自分の心の内側を映し出す鏡のようになる場合もあるのではないか…と思うことがあります。
►『中原中也詩集』
新潮社 2000/03 ISBN-13:978-4101290218
►
中原中也記念館HP
記事中の「中原中也の詩歌をさがす」はこちらから使わせていただいています。(管理人)
中原中也の詩に初めて触れたのはいつのことだったでしょうか。
国語の授業だったかもしれないし、何かの記事だったかもしれないし、それがいつであったかも、どんな詩であったのかも記憶は定かではありません。
印象に残っていないということは、私にとってそれは大きく心に響くものではなかったという証なのでしょう。
その後、ちゃんと意識して中原中也の作品を読んだのは大学生の頃でした。
文学部にいた友人の卒論のテーマが「中原中也」。
何気なく読んだことを覚えています。
それが
「汚れちまった悲しみに」。(
中原中也の詩歌をさがす※
汚れつちまつた悲しみにで検索してください)
読後に何を思ったかまでは覚えていないけれど、それを読んだことだけはしっかりと記憶に刻み込まれました。
思っていることというのは誰かに通じるものなのでしょうか。
それからしばらくして、引越しを控えた知人から何冊か本を譲り受けたのですが、その中に中原中也の詩集があったのです。
それはそのまま私の本棚に並ぶこととなりました。
ふとしたときに、それに手を伸ばすことがあるのですが、
その時によって、どの詩が心に響くのかも、何を思うのかも異なります。
それは
その時点での自分の心が見せる景色なのだろう、と漠然と感じています。
いつの頃からでしょうか。
ヤマトファンの性とも言えるのか…
ドラマや映画、本の中に「ヤマト」を感じることが増えたような気がするのです。
全然関係ないドラマなのに、何気ないシチュエーションやセリフにヤマトを連想してしまうことがああったり…。
それは本の中でも同様で…最近は
中原中也の詩集を開くと、「ヤマトだな…」と思うようになってしまいました。
『春日狂想』という、誰もが一度は目にしたことがあるであろう詩があります。
(
中原中也の詩歌を探す)
“愛するものが死んだときには 自殺しなけあなりません”
で始まるこの詩。
なぜだか
「完結編」を思い浮かべてしまうのです。
古代くんが死んだと思い込んだユキがコスモガンを自分に向ける姿が脳裏をよぎります。
けれど、この詩のその後の部分を読むと、私の中には
「永遠に」の守さんの姿が浮かぶこともあります。
彼が自爆をしたことは、果たして奉仕の心だったのかどうかはわかりませんけど。
本当のところはよくわからないのですけれどね。
それでもなぜだか、この詩は守さんによく似合う、と思ってしまうのはなぜでしょうか。
何度も考えてみるけれど、そこのところは自分でもよくわかりません。
もちろん、この詩をもっと先まで読み進めれば、全然守さんじゃないよなぁ…と思うのですけれど、最初の部分に関してはどうしても思わずにはいられないのです。
そして、私の好きな詩のひとつには
「湖上」があります。
(
中原中也の詩歌をさがす)
非常にリズム感の良い詩で、これを
音読すると実に気持ちが良いのです。
そしてなぜだか、
ユキが古代くんに語りかける光景が目に浮かびます。
静かな湖面に浮かぶ小さな舟にふたりが乗っていて、古代くんの話に耳を傾けるユキ。
そんなシチュエーションがよく似合う気がしてしまうのはどうかしているのでしょうか(笑)
なぜそんなことを思ってしまうのか、自分でもとても不思議なのだけれど。
そして。
一番好きな詩が
『月夜の浜辺』です。
(
中原中也の詩歌を探す)
この詩には古代進が良く似合う、となぜか思いました。
「復活篇」で
アクエリアスを見上げる彼の姿と、この詩が見せる浜辺の光景はとても似ているような気がするのです。
拾ったボタンが何なのか、それは何かひとつこれ、とは言えないとは思います。
彼にとっての大切なもの、失ってしまったもの、思い出…いろんなものがあって、そのどれもがよく似合うような気がするのです。
そんなことを思ったとき。
それは必ずしも古代くんだけじゃないなぁ…とふと気づきもしたり。
ヤマトの世界では、誰ひとりとして何も失っていない人などいないのだから。
だから誰を当てはめてもしっくりとくるのかもしれません。
この詩集には彼の詩がとてもたくさん収められていて、まだまだヤマトを感じることができるものもたくさんあります。
けれどそれは、
読み手それぞれの感性によっていろんな景色を見せてくれることでしょう。
彼の詩の中にヤマトの世界を探す…そんな楽しみ方も面白いですよね。
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