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宇宙図書館 秋の夜長に

宇宙図書館 7thBOOKFAIR 秋の夜長に のコンテンツの1つ、「オススメ本」のコーナーです。

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『配達あかずきん』&『平台がおまちかね』《追記有り》

更新情報14:『配達あかずきん』&『平台がおまちかね』 著:大崎梢
【紹介者:綾乃様】
 
創元社といえば、昔からのSF読みなら、絶対に足を向けて寝られないくらいお世話になった本の数々を出版してきたカイシャである。後年、その地位はハヤカワミステリに取って替わられたとはいえ、あの時代、未知のものをどんどん翻訳して日本に入れ、われわれの先輩たちを狂喜乱舞させた功績は、とっても素晴らしいと思う。
うちにもまだ、昔ながらのラインアップで早川で翻訳されなかったものは、大事に本棚に並んでいる(カバーかけてあっても黄色くなってるけどね)。


►『配達あかずきん-成風堂書店事件メモ』


 著:大崎梢 東京創元社(創元推理文庫) 2009/03/20 ISBN-13:978-4488487010

 単行本(ミステリ・フロンティア)はこちら
 配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)

 


さて私は前振りが長くていけませんね。

先般、ここの管理人が惚れ込んでいる『隠蔽捜査』は、私が紹介したと威張ったが、この『配達あかずきん』は逆に、ポトスさんに紹介していただいた。書店好き、図書館好きの彼女ならではのチョイスともいえるが、棚に本が並んでいる店に入ると心の底から嬉しくなる“同病”のワタクシとしては、当然買って、一気読みしたことは言うまでもない。

『配達あかずきん』の方は、どこにでもある駅ビル内の、成風堂という書店での出来事。事件とも言えない事件、本にまつわるものや本を通じてのもの、その仕掛けの仕方もいろいろ小技が利いていて楽しめることどもを、書店員・杏子と、アルバイトの多絵のコンビが、わずかなヒントをもとに解いて行く。

ほかのお店とのかかわりで、駅ビルならではのエピソードがあったり、本の配達や細かい作業内容で、よくここまで書店の仕事が描かれているなぁなんていうところも楽しめる(書店の仕事、といことそのものが人に面白がられるのが面白かったと著者も言っている)。よく取材しているなぁと思ったら、著者は書店員出身だったのだね。どうりで、人間観察が鋭く、また温かく、なんだか本に乗せてシアワセを届けてくれるコンビのような気分になった。

けっこう血なまぐさい話も起こるのだけれども、誰も死にません(笑)。
人気が出て、続編ができたのもわかりますねぇ、続編と番外編はまだ読んでないので、これから書店に行く楽しみってのもあります。
イラストもとても雰囲気が出ててかわいいっすよ。


►『平台がおまちかね』(創元推理文庫)

 著:大崎梢 東京創元社 2011/09/10 312p ISBN-13:978-4488487041
 

 単行本(創元クライム・クラブ)はこちら
  平台がおまちかね (創元クライム・クラブ)


 

一方、「平台がおまちかね」の方は、自分で書店で見つけた本。
タイトルに惹かれました。一見して、「書店営業の話」だと思ったから……というのは、やっぱし自分もそっち業界の人間だからかもしれないけど。

書店でアルバイトしたいと熱望したこともあれば(学業が忙しくて、一定時間勤めなければならない仕事は無理でしたが)、就職してから研修で売り場に立ったこともあり、また大手の書店のフロア長さんにいろいろ教えを受けた時代もありました。

たぶん、そんなこんなで、ふつうの私どものような仕事をしている人間よりは“書店員”や書店の仕事の実態を知っている方ではないかと思います。だからこれ、きっと業界受けするなぁと思いました。一見、地味な仕事、しかし本当はとても重要で、出版社内では実は発言力を持っている部署。
一般の人がイメージする“出版社の人”といえば編集や、または販売とかだと思うけども、地味ですが、大切で面白みのあるのが書店営業という仕事なのです。
主人公が、“ある理由があって”編集職に就けない、というのもひとつの謎で、最初気になって仕方なかったんですが、ある物語の中で、さりげなく謎解きもされます。望んで書店営業に行った新人が主人公。
それをこんなにほのぼのと描いてくれる。

「…あかずきん」が女性の話なら、こちらは男性の話。主人公の井辻智紀くんだけでなくて、編集へ引き抜かれて行ってしまった先輩やその謎、上司や仲間…。一番面白いのは、他の出版社のライバルであり仲間である人たちとのいろいろなエピソード。マドンナの謎。

これも、一気に読めます。
一本一本の短編が重なってひとつの物語になっていく。手法は同じですが、味わいがまた違う。こちらは外回りをしている所為か、杏子さんたちより多少、波瀾万丈な度合いが高いようですが(笑)。

日々頑張っている井辻くんを見ていると、元気も貰えます。活字文化や出版業は将来がない、なんて言われて久しい中、本当に元気が貰えるんです。やっぱりいいよね、本っていいよね。
私が言っても説得力、ないですか?(笑)。

読後感も良いし、仕事や家事の合間に気軽に読めますので、是非、ご一読を
 

文責:綾乃様blog「新月の館
 

【続き・1】

で、このブックフェアが続いていると限りなく本が増える気のする綾乃ですが(^_^;)
このひと月で、文庫本の“まとめ買い”に出かけたのは三度目。

一度目に入手した中に、『晩夏に捧ぐ』があります。
►『晩夏に捧ぐ』

 著:大崎梢 東京創元社 2009/11/10 ISBN-13:978-4488487027

 単行本はこちら
 晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)




『配達あかずきん』の続編で、以前、勤めてた杏子の友人から「書店に幽霊が出る」解決してくれないか、という依頼の手紙が来る。電話で話すと、すっかり「探偵扱い」乗り気でない杏子に対して、すっかり乗り気の妙絵と共に、車上の人になった2人は地方の商店街でしっかりとがんばる書店経営者親子に出会う。。。というものです。

『…あかずきん』が短編の集合体なら、こちらは通常のミステリー
幽霊の出た原因を探る、というのだけならホラーか眉唾か、ということで実は私はあまり好きなネタではないのですが、著者も、また登場人物も、本当に書店を愛してる。
書店の描写や、それにまつわる小さなエピソードが、つい“読ませて”くれるわけです。
で、この作品には、書店を愛する人しか出てこないんですねぇ。
書店員、バイト、お客さま、商店街の皆さん、営業マン、取次。次作では作家や取次、出版社のヒトまで登場。
(出ないのは編集者くらいか・笑、、、普通と逆で面白い)

関係者に順番に話を聞いていく、というのも刑事さん顔負けの活躍(ところで、このお話には、杏子ちゃんとイイカンジになる刑事さんも登場します←ありがち ただ、当面は進展しそうにありませんが・笑 お気の毒)。

一気に読めますので、まぁ夏はとっくに過ぎてしまいましたが、ほっこり温まるのでこの季節にも良いかも。
高原列車に乗ってどっかへ出かけたくなる。。。のは、単にテツだってか!?

綾乃・追記1/19 Nov,2011

【続き・2】

さらに一昨日。久しぶりに書店でゆっくり“本を物色”するという時間を過ごしました。
大雨になるなぁ、早く帰らないとなぁ、、、と思いながら、なかなか棚の前というのは楽しくて時間の過ぎるのも忘れてしまいます(<私って、こう書いてると本当に杏子さんと“同病”だわ)。

そうすると。
ありましたありました、もう文庫になっていたのね、のシリーズ3冊目。
『サイン会はいかが?』

►『サイン会はいかが?』

 著:大崎梢 東京創元社 2010/03/11 ISBN-13:978-4488487034

 単行本はこちら
 サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ (ミステリ・フロンティア)

『晩夏…』で遠出をしたコンビですが、今度は成風堂に戻ってきます。

そういえば、ですねぇ。この成風堂さん。駅ビルの5Fということになっているじゃないですか。
うちの会社の最寄駅にある大手チェーンのA書店に、とっても雰囲気が似ているんです。
もちろん、成風堂はチェーンじゃないし、文具も扱ってないし、もう少し都心部じゃない駅だと思うし、、、
なのですが、まったく売り場の雰囲気がそっくりなんだなぁ。。。とまぁ、
きっと読者の3分の1くらいが、「うちの近所の書店に似てる」と思われるんじゃないか、
それがまた著者の上手さのような気もするんですね。

この3作目は、さらに書店員の仕事が細かく書き込まれています。
それだけ読んでても面白いです。
ミステリー度は、1作目に比べると若干低いですが(やっぱり1件だけ血なまぐさい事件が起こります・過去だけど)、楽しみが減るわけではありません。
表題作を含め5本の短編です。是非、お読みくださいね♪

綾乃・追記2/20 Nov,2011

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